ichy’s diary

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Canon EOS R5を買ったのでレビュー

Canon EOS R5 + EF 16-35mm F4L IS USM

2023/09にCanon EOS R5(以降 R5)を買った。2020/07発売なので実に3年遅れで購入。

R5 はどんなカメラか?

詳細は キヤノン:EOS R5 | 概要 を見てもらえれば。ざっくり特徴を個人的な感覚でピックアップすると

  • 4500万画素(2023/11時点でEOS Rシリーズでは最高画素数)
  • ボディ内手ぶれ補正あり
  • 20fpsになる連射性能の向上(後述に注意あり。)
  • 被写体の種類を選べ、トラッキングできるAF性能
  • 8K RAW動画撮影(動画は使う予定がないでここぐらいで…)

なぜこのカメラを今のタイミングでかったのか?

2020/07発売で、もうすぐMark 2も出るというタイミングで結構迷った。今までEOS 5D Mark4を使っていたが、世の中のミラーレスへの移行圧力(とくにレンズ周りの発売)と、たまに5Dが調子悪いことがあって、新しいカメラを買うことを検討していた。

選択肢はいくつかあって、

  • R5を導入する
    • Pro: 順当な進化。性能は折り紙付き。
    • Con: 価格が高い。
  • R6 Mark 2を導入する
    • Pro: 発売年が新しい。R5よりは安い
    • Con: 5Dの3040万画素から2420万画素に低下する(ただし高感度性能は向上するだろう)。
  • Sony alphaシリーズに移行する
    • Pro: 最近使う人が多くなったのと、サードパーティレンズの選択肢が豊富。
    • Con: レンズ資産が若干活かしにくい(マウントコンバーターでなんとかなるかもしれないが不安がある)
  • Fujifilm Xシリーズに移行する
    • Pro: 色乗りが良い。カメラとしての楽しさはありそう。
    • Con: 速射性能とかの感覚がちょっとよくわからない。レンズ資産は行かせない。APS-Cか中判しかない

ということを考えていた。ミラーレスで共通してた利点はいずれにせよ今よりは軽く、小型化になるだろうというところで、欠点はバッテリーが持たないことにあった。バッテリーに関しては対処方法として、バッテリーをいくつも持つことと、USB経由の給電・充電が可能であれば、出先でもなんとかなるだろうという予想をしていたのでそこまで不安には感じなかった。ただ、連続して撮影しなければいけないようなシチュエーションに関しては不安があったのでそのあたりは後述する。

それで、いくつかの選択肢があって、なんで最終的にR5になったかというと、やっぱり5Dからの買い替えとなると、クォリティを落とせないという気持ちが強くなった。現代で写真を見るとき、多くはスマートフォンなどのデバイスなので実際のところ1200万画素(iPhoneのメインカメラぐらい)あれば十分で、それならばR6 Mark2でも良いわけだけど、仕事でトリミングとかが必要であったり、テレコンがなかったりするときに1.6倍クロップで撮影するとなると、画素数が大幅に下がる(具体的には4500万画素が1760万画素になる。R6だと2400万画素が940万画素)。記事で使うぐらいには問題ないが、いずれにせよ厳しい画素数になってくるので、なるべく最初の一台としては高い画素数が欲しくなる。他には風景写真とかを撮ることが多いので引きの画になることも多く、その割には低画素で低速シャッターを使うので、高画素機で有ることは必要だが、ノイズ耐性はそこまで求めてないというシチュエーションが主になるとどうしてもR5しか現状選択肢が無いみたいな話になる。一応暗所で高速シャッターが必要なシチュエーションでの画も後述する。

他のシステム(Sony, Fuji)に移行も考えたが、レンズ資産の問題と、通常撮る写真で必要な色乗りではないことを考えて一旦は優先度を下げた。そのうち欲しくなるかもしれないが(Fujiに関してはX100Fを持っていてその色乗りがとても良かったので今回候補にあがったぐらい)。

4500万画素はどうだったか

Canon EOS R5 + EF70-200mm f/2.8L IS II USM

3000万画素(5D Mark4)から4500万画素(R5)へ乗り換えたのでそのあたりの違いを見てみる。基本RAWでの話になる。

まずファイルサイズ的な部分から。ファイルサイズは5D Mark4が35MB/枚ぐらいだったのに対して、R5では48MB/枚ぐらいになる。 写真の描写する内容によって容量が増減するのであくまで目安。2500枚取ろうとすると90GBで済んでたものが120GBぐらい必要になるので、その量を撮るならカードを買い替えたほうがいいレベルになる。いずれにせよSDをのぞいて、CFからCF Express TypeBに記録メディアが変更になったので、新しく買うならちょっと多めぐらいの容量が安心。

データ量が増えたことで連射時のバッファ開放はどうかというのは結構気になるが、CF Express TypeB自体が転送速度が早く、1700MB/sec の公称書き込み速度だと、フルバッファからの開放は体感4-5秒ぐらい。いままで160MB/sのCF(SanDisk Extreme PRO)を使っていたので体感できる速さでPCへの転送が終わる。より早くするならC-RAW形式がより圧縮されるのでそちらを選ぶこともできるが、若干の画質低下を招くとの話もあるので試していない。

Canon EOS R5 + EF16-35mm f/4L IS USM

画質的な部分としては、ちゃんと比較できていないが、たしかに解像感は上がった感じがある。風景を撮っていて、細かい葉などがより描写されるような気がした。やはり高解像度と風景写真は相性が良い。

Canon EOS R5 + 24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art 017(ISO2000)

ノイズ耐性に関しては、低解像度機(R6 Mark2やR3など)を試していないので分からないが、ISO2000ぐらいまでは概ね補正で普通にきれいになるぐらいなのでそこまで気にならなかった。低解像度機はこれより高い数値でも特に問題ないんじゃないかという期待はある。

バッテリーに関して

ミラーレス化するにあたって一番気にしていたのはバッテリー。Canonの公称ではR5は動体を撮影するときに必要な「ならめらか優先」モード(ファインダーfpsが向上する)でLP-E6NH(2130mAh)ファインダー撮影時約220枚という説明で、5D Mark4ではLP-E6N(1865mAh)使用時公称900枚と、単純比較で5倍電力を使うという計算になる。自分の実使用では30分の間に3000枚撮影するのが一番厳しい条件だが、5D Mark4の場合、バッテリーグリップをつけ、バッテリー二個でおおよそメモリ半分消費という状況で、5倍電力を使うとなるとバッテリーは5個ぐらい持っていく必要が出てくる。しかも30分の間に3回は交換しなければならないみたいな状況が予想された。

実際にバッテリーの持ちを確認するため、撮影をした。設定としては、

  • なめらか優先
  • 省電力モード切
  • サーボAF
  • ラッキングAF(瞳検知・頭部検知)
  • EF 70-200mm F2.8L II
  • バッテリーグリップ(LP-E6N(劣化済み), LP-E6(劣化済み))
  • 電子シャッター
  • 高速撮影+(H+)

この条件で、30分撮影したところ、撮影枚数3147枚で、バッテリーは84%, 83%という結果になった。その後そのバッテリーをつけたまま30分更に撮影し、総撮影枚数5552枚でバッテリーは73%, 72%だった。 単純計算でバッテリー1個につき9000枚超撮影できる計算になる。公称値の20倍撮影できることになるので予想を大きく上回った。ただ、今回の撮影は短時間かつ、電子シャッターだったというのが大きな要因じゃないかと思っていて、メカシャッターかつ、旅行のときのように撮影間隔が大きく開く場合ではない。試しに旅行で持って行ってメカシャッターで撮影したが、400枚ぐらいを撮影してバッテリー50%ぐらいの記憶だったので、撮影条件にかなり寄るとも言える。いずれにせよ、バッテリー交換が厳しい場面で頻繁な交換が必要かと言われると、そこまでではないというのが結論なので、通常使用ではそこまで気にしなくても良いとは思われる。ただし、あまり多くバッテリーを持っていくことができない場合は念のため頻繁に電源を切るであるとか、省電力モードを活用するとかを意識すると安心なのかもしれない。あとはモバイルバッテリーを活用するとよいと思われる。

シャッターに関して

5Dシリーズから使っている人にとっては一つ大きな向上性能として、シャッター連射速度が大幅に向上したというのがある。5D Mark4だと3fps/7fpsから選べるが、R5ではメカシャッター・電子先幕シャッターで3fps/8fps/12fps という、ちょっと前の1Dシリーズぐらいの速度になった。そして電子シャッターであれば20fpsという脅威の速度を達成している。しかも、電子シャッターであればブラックアウトフリーなので被写体を追尾し易いという利点もある。

しかし、気をつけなければ行けないのがいくつかある。メカシャッター・電子先幕シャッター・電子シャッターそれぞれで高速撮影+(H+)時(もしくは電子シャッターなら常に)で色の階調表現が低下する現象がある。通常メカシャッター・電子先幕シャッターは14bitで色が表現されるが、高速撮影+(H+)時には13bitに、電子シャッターはモードによらず常に12bitに低下する(ソース: Canon EOS R5 Specifications and Features - - Canon Europe )。

Canon EOS R5 + EF70-200mm f/2.8L IS II USM

最終的に8bitや10bitのJPEGに書き出すとはいえ、RAWで微妙な調整をやったり、風景であれば空の微妙な階調を記録しておきたい場面では、念のため、高速撮影(H)で、メカシャッター・電子先幕シャッターを使うのが安心になる。それでも8fpsの速度は出せるので、5D Mark4から考えたら少し性能向上できている点はとても良い。

もう一つ、電子シャッターに関しては、ローリングシャッター歪みとフリッカーが起こる。ローリングシャッター歪みに関してはよほどの高速シャッターでないとでてこなく、あまり気にしてないが、自分が撮影してて気になったのはフリッカーだ。

Canon EOS R5 + EF70-200mm f/2.8L IS II USM

白熱球だと問題ないが、とくに最近導入が進んでるLED照明で撮影をすると如実にフリッカーによる縞模様がでる。電子シャッターがグローバルシャッターになればこの問題は解決するはずだが、現状ではローリングシャッターを採用しているので避けられない。室内の照明光源でLED(色がついてる光源でわかりやすい)が使われれている場合は、念のため電子シャッターは避けたほうが無難かもしれない。

ラッキングAFに関して

5D Mark4でもゾーンAFがあって、トラッキングっぽいことはできたが、被写体を選択してトラッキングするのはR5で初めて体験した。普段は置きピンを使ったONE SHOT 1点か構図を決めてからのサーボ1点で撮影しているが、今回は人物(瞳・頭部検知)でトラッキングサーボAFで撮影した。なお撮影条件として電子シャッターを利用している。

撮影した感想としては、とても優秀で、これは今後も使っていきたい機能に感じた。

Canon EOS R5 + EF70-200mm f/2.8L IS II USM

電子シャッターでブラックアウトフリーな分、ストレスなく追尾と画の配置ができつつ、フォーカスは瞳、背を向けているときは頭部付近を追尾しており、暗所であったり、大きな帽子などを被っていてもしっかりと認識できているのが信頼感があってよかった。

Canon EOS R5 + EF70-200mm f/2.8L IS II USM

今までの撮影の中での歩留まりとしてはだいぶ改善した感覚がある。

2023/11時点で買いか?

わからん。仕事なら持っていて損はないと思う。噂のR1まで待てるなら待ってもいいかも。スタジオ撮影で使うぐらいならまだ5D Mark4で戦える。動体を高画質で撮影したいならR5はおすすめ。5D Mark4からの乗り換えとしてはこの選択肢にならざるを得ないが、趣味用途で直近撮影機会がそんなにないならMark2狙いしたほうが幸せになれそう。お金あるなら買ってもいいかも。実売50万超えるしね。